第1回 フォースと超能力

フォースを信じるのじゃ。


 今から30年以上も前の1977年、公開されてから、あらゆるSF作品を刺激し、一般知名度の高さからカルト的人気まで幅広くファンを獲得した「スターウォーズ」シリーズ。
 今年12月、ついにその最新作が公開となり、またもSFシーンが暑くなっていくことが期待されているわけ・・・・です。 
 元はジュール・ヴェルヌから始まったSF文化はスターウォーズシリーズで、一定のイメージを作った感がありますね。
 異星の動植物、無機質な高機動スーツ、カラフルなビームガン。そしてスターウォーズといえばと言わしめるライトセーバーなどの超未来ガジェット。
 本連載はそうした「夢がつまったガジェット」や「SFの理論」といった部分を解説していくという趣旨のものです。
 いやいや、巷に良くある「〜〜は科学的には無理、物理的に不可能wwww」といった夢の無い野暮なことは言いません。現在の科学で実現させたり、実現させるのに必要な技術に関して何が足りないのかというポジティブな視点でそうしたフィクションを見ていこうというものです。

その前に自己紹介

筆者は、かつて「アリエナイ理科ノ教科書」という、ミステリーに使われる毒や、SFに登場するレールガンやコイルガンといった未来兵器を作るといった科学を取り上げた本を上梓しております。
 その後、その本が多くの作家のネタ本として読まれているというお話をあちこちで伺うことになり、そうした出版社の会などにお呼ばれするようになり、その後ミステリー作家のトリックを考えたり、SF作品の科学監修などを数多くさせていただくという形になりました。
 そうした活動が実ったのかどうかささておき(笑)、来年はそれを大学で講義としても持つことが決まったりしております。
 ともあれ、さっそく、第1回の本題に入りましょう。

フォースと超能力

スターウォーズで印象的なシーンといえばいくつもありますが、その中でも、ジェダイやシスを特徴的に魅せる「フォース」という謎の力が存在します。
 
 フォースのチカラとかいうと、Force(意味:ちから)と、頭痛が痛いみたいなことになってしまうのですが、細かいことは気にせず、サイキックパワー的な感じで描かれています。
 シリーズを通して、テレパシーや念動力、または未来予知などが出来、人間離れした身体能力を発揮したり、弾道を予測して避けることだってできるというもの。ついでに感情によって左右されるといった感じで描かれている未知のエネルギーです。
 たしかに現在の人間は超能力らしい超能力は見つかっていません。自称超能力者は世界中にゴマンといますし、一時期は本当に何かあるのではないかときちんと研究された時代もありました。
 有名なものはアメリカ政府が行っていたスターゲイトプロジェクト(冷戦中に研究されていたもので、1970年代から90年代まで続いた研究プロジェクト)
 その結果、存在しないか、仮に存在しても実用に値しない能力であろうという結論になって、プロジェクト自体はもう存在しないわけです。
 
 もちろんフィクション的には、実は発見されていて、それを秘密裏に隠蔽するために以下略的な話はおもしろいのですが、これだけ世界中で研究されて、物証1つ無いということは、おそらく本当に無いのでしょう。
 しかし、それは現在の我々の能力の範疇であり、まだまだ未開の科学の発達によりそうしたことが可能にならないとも言えません。
 スターウォーズに限れば、そもそも彼らは人間にそっくりですが、「遠い昔、はるかかなたの銀河系で」の話ということになれば、非人間的な超自然的なチカラを使うことが訓練次第で、できる種族、世界、なのかもしれませんし、現在の物理法則や存在する宇宙自体が違うという解釈だって可能です。
 とはいえ、「そういうもの」と言ってしまえば、ルール無用のデスマッチ、何でもありの世界になってしまうので、そうしたものを描く上で、ある程度の枠組みを作ることが必要ですし、念動力があるとしても、そのエネルギー源はどれくらいなのかを知っておくことは、SFを理解していく上で大事だと思うのです。

とりあえずフォースのまねごとをしてみた

とりあえずモノは形から入るってことで、フォース出してみました。

画像1: とりあえずフォースのまねごとをしてみた

画像2: とりあえずフォースのまねごとをしてみた

画像3: とりあえずフォースのまねごとをしてみた

動画

Force Power

youtu.be

こんな感じですw


 今回は、スターウォーズシリーズでダースベーダーを操る暗黒卿こと、パルパティーンの稲妻のようなフォースを実際に再現してみました。
 もちろん、これを食らったらしびれて動けない・・・・くらいのパワーはあるのですが、放出した側が最もダメージを食らうという(アースすると体内に多少電気が流れ危険)諸刃の性能なのですが、見た目では結構肉薄しているのではないでしょうか?
 もちろん、自分は暗黒のフォースを操れるわけではないので、科学のチカラを借りています。
 今回使用したのは、テスラコイルというもので、アリエナイ理科でもおなじみのPOKA氏制作のマシーンです。
 通常のテスラコイルでは、人間自体から雷を発生させるのは困難なのですが、氏のコイルではそれが可能というもの。
 ものすごい電圧と電流ではありますが、周波数が非常に高いため、殆ど体内に入らないので一応安全に放電が可能というものです。しかし、地面や大きな金属の塊などに雷がつながる(アースする)と、多少体内に入るようで極めて強烈なショックと痛みがあります(笑)
 本連載ではこういう感じで実際にSFやってみた実験もちょこちょこ紹介していく予定です。

エネルギーとフォース

さて、話は戻って念動力をフィクションで使っていくための設定の話をしていきましょう。
 映画「マトリックス」では、主人公ネオが覚醒したあと、念動力で弾丸を止めていました。あの世界はデジタルワールドであるという設定ですが、その設定はとりあえず置いておいて、なんらかのパワーを手から出すことが出来て、弾丸を止めることができるとするとどれくらいのエネルギーが必要なのでしょうか?
 仮に200発の弾が目の前で止めれたとしましょう。ピストルの弾はだいたい200〜400J(ジュール)のエネルギーを持っています。
 ジュールとかカロリーとかエネルギーの話をすると、理科バイバイの諸氏は読むのをやめてしまいそうですが、難しく考えないで、200J(ジュール)なのね、はいはい、程度に思っておいてください。
 200J×200発=40000J
 弾丸が200Jで飛んでくるということは、そこに同じエネルギーをぶつけるとちょうど止まるということです。60キロで走ってくる車に正面衝突で60キロで走る車をぶつけると止まるのと同じです。
 エネルギーというのは用途別に単位を変換できるので、これをカロリー換算してみます。約9560cal(カロリー)になります。キロカロリー換算すると9.5kcalです。
 
 人間の脂肪細胞というのは1gあたり9kcal(キロカロリー)を蓄えることができます。なんらかの形で体からこれだけのパワーを出しても、体脂肪が1,2g減る程度のエネルギーであるということです。人間のポテンシャルすげえ。エネルギーに関しては別の捻出方法もあるので、それはそのうち別の機会に説明します。
 念動力を使うと疲れるというのは、こうしたエネルギー変換の結果と考えると、なんとなく説得力も出てきますね。

念動力の原理を考える

もちろん使えば使うほど体重が減るようではしんどいので、念動力のエネルギーが別のものであり、それに対して「きっかけ」を与える力という解釈も可能です。
 おそらく現在、漫画などのフィクションで多く描かれているのがこうした超能力で、重たい岩や瓦礫を細腕の少女が念動力で飛ばすのは痛快でカッコイイものです。
 そうした作品がギャグテイストであれば、設定なんてものは不要なのですが、ちょっとした理論を入れたり、シリアスな現代物なんてことの場合は、多少のバックボーンというかウンチクがあると説得力が増します。
 そもそも物体に重さがあるという理由は、現在の科学ではよく分かっていません。そのあたりの話は、最近話題の超最先端物理研究施設にある大型ハドロン・コライダー(LHC)でのヒッグス粒子とつながりがあります。
 ヒッグス粒子というのは、我々の世界を構成する最小の単位、分子(酸素や二酸化炭素1粒)を構成する原子(酸素原子や炭素原子)を構成する素粒子なんてものになるわけですが、素粒子は振る舞いも含めてまだまだ未開の部分が多い世界です。
 故に、そういったものを取り扱う量子物理学的なフィクションが多用されるということです。
 詳しい話は今回は割愛するにして、そうした原理原則の根本部分で「という設定」という形にしてしまうことで、なにかとツッコミを入れたがる野暮な人にも対応でき、見ている人も安心してフィクションを楽しめる設定にすることができます。
 そうした細かい設定の例なんかも今後、連載で掲載していく予定なので、楽しみにしていてください。

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